実際の整備現場において、
車両スキャンツールの使用に当たり心得ておきたいことは以下の通りである。
いきなり部品交換に走らない[編集]
水温センサーとエンジンのECU内のマイクロコンピュータの関係
例えば 水温センサーの不具合を示すDTCが読取れた場合、いきなり部品交換に進んでしまうのは、誤りである。水温センサー自体は、サーミスターを使った簡単な部品だが、エンジンのECUの中では図のような配線になっている。したがってセンサーの配線やカプラーの異常の他に、ECU内部の分圧抵抗なども点検の対象となる。しかし万が一、内部の分圧抵抗の異常と結論が出たら、ECUアセンブリ交換となってしまう。
また水温センサーについてのDTCが、エンジンのECUに記憶される条件は、以下のようにメーカー及び車種によって違っている。
【P0115 水温センサー回路異常】
トヨタ・マークX - イグニッションスイッチをオンにしてから、水温センサー回路が断線あるいは短絡状態が0.5秒間続いた場合
日産・オッティ - イグニッションスイッチをオンにしてから60秒間経過した後、センサー出力電圧が4.6V以上あるいは0.1V以下になった場合
したがって故障診断作業に当たっては、こうした情報をサービスマニュアルで確認しておくのが、肝要である。
図の黒線ように、水温センサーからECUに送られる電圧信号は、エンジン始動時が最大で、後はエンジンの暖機が進むにつれ、低下していく。OBD1、
OBD2診断ツールにかかわらず、ECUの自己診断機能は、水温センサーの電圧信号がある値以下、あるいはある値以上の時、DTCを記憶する。
しかし水温センサーの特性の狂いの原因で、図の赤線のようにいくらエンジンの冷却水温が上昇しても、ある電圧以下に下がらない場合がある。この場合エンジンのECUは必要以上の燃料を噴射してしまい、非常に調子が悪くなる。ところが、電圧変化が規定の範囲に収まっている場合は、エンジンのECUはDTCを記憶することはできない。
車両診断機『G-SCAN』